アニメは「告知される作品」から「広がる作品」になった
TikTokの登場で、アニメ宣伝は大きく変わった。
以前はテレビCM、番宣、PV、ポスターなど、公式が一方的に情報を届ける形が中心だった。
でも今は違う。ファンが動画を作り、曲を使い、感想を広げることで、作品そのものが拡散していく。
TikTok公式の調査では、88%が「TikTokで今まで知らなかったドラマ・アニメ・映画・マンガを見つけた経験がある」、73%が「TikTokがきっかけで見始めた経験がある」と答えている。しかも、きっかけの多くは企業の公式投稿より、ファン投稿だという。これは、TikTokが単なる宣伝の場ではなく、作品との出会いの場になっていることを示している。
この変化を象徴するのが、主題歌の広がり方だ。
『マッシュル-MASHLE-』の「Bling-Bang-Bang-Born」は、TikTok上でダンス動画や再現動画が広がり、TikTok公式によれば2024年だけで総再生回数94億回超に達した。ここで重要なのは、曲だけがヒットしたのではなく、曲の流行がそのままアニメの人気を押し上げたことだ。
同じことは『【推しの子】』にも言える。
YOASOBI「アイドル」はTikTok上で大きく拡散し、Billboard JAPANでもTikTokチャートで長く上位を維持した。今のアニメ主題歌は、作品を彩るだけでなく、作品を広げるエンジンになっている。
また、TikTokはアニメ公式アカウントの役割も変えた。
今の公式は、ただPVを置くだけでは弱い。
切り抜き、音源、セリフ、ダンス、ハッシュタグなど、ファンが使いたくなる素材をどう出すかが重要になった。TikTok Awards Japan 2024でも「Anime of the Year」部門が作られ、アニメアカウントそのものの発信力が評価されるようになっている。
『呪術廻戦』もその代表例だ。
TikTok公式によると、「#呪術廻戦」「#jujutsukaisen」を付けた動画は2025年時点で累計160万件超、総再生回数67億回以上に達した。さらに放送時にはXでも関連ワードがトレンド1位を獲得しており、TikTokで裾野を広げ、Xで熱量を可視化する流れが見える。
つまり、TikTokが変えたのは宣伝手法だけではない。
アニメが広がる仕組みそのものだ。
今の時代、アニメ宣伝で重要なのは「どれだけ告知するか」ではない。
どれだけファンが参加したくなる入口を作れるかだ。
主題歌、ダンス、感想、再現、切り抜き。そうした遊び方が生まれたとき、アニメは単なる新作情報ではなく、一つのカルチャーとして広がっていく。
必要不可欠になったのは、TikTokという媒体そのものより、
ファンが作品を自分の言葉と表現で広げる構造なのだ。












